上谷山(福井・滋賀県境)ヤブスキー




 北陸自動車道今庄インターで降り、20分ほど車を走らすと広野ダム。ここは奥美濃の山々の登山基地の一つです。
 まず有名なのは大蛇伝説の夜叉ヶ池でしょう。ここから登る山は沢山あります。笹ヶ峰、美濃俣丸、三周ヶ岳、黒壁、三国岳、そして今回の上谷山。
 どれもこれも殆ど道のない山。ヤブ山派にとっては魅力たっぷりの基地です。
 上谷山は岐阜に接していませんが、山塊として奥美濃に入れました。

【日  時】1996年04月12日(金)前日発
【山  名】上谷山() 1,196.7m
【山  域】奥美濃(福井県、滋賀県国境尾根)
【天  候】曇り時々雪(真冬並の大寒波、(^_^; )
【メンバー】佐野 誠 2FU 山太 3名
【地  図】20万図 岐阜  5万図 冠山 今庄  2.5万図 広野 板取
【コース 】広野ダム奥、日野川岩谷キャンプ場口より左岸の尾根を登る。
     標高400m → 1,069m → 1,168m → 上谷山 ピストン


 4月11日(木)
 森ノ宮に昼1時に集合だ。山太に合わせて平日に2日間も時間を取って下さった2FUさんと佐野さんにまずは感謝感謝。m(_ _)m。
 皆さんきっと快適なスキーツアーを思って居るんだろうなあ〜。(^ ^ゞ  この時期にしては季節はずれの大寒波が来るという。
 装備は万全だが、大展望の春スキーは期待できない状況だ。
 今庄の農協で食料を調達して広野ダムに入る。今年は雪が多かったせいかダムの水は満タン。

 5時半頃3年前ベースを張った岩谷キャンプ場に着く。一応今夜もここに泊まる予定で来たが、「キャンプ場まで荷物を運ぶのは面倒だなあ〜。」何て言いながら、取りあえず明日登るルートを偵察。
「少し下って枝尾根の頭からヤブを漕ぐことにする!。」と決める。
 もしかして広野ダムから手倉山の尾根に道があるかも知れない。後悔しないように偵察をしておこう。と言う佐野さんの提案でダムまで戻る。

 コンクリートの側壁にロープが掛かっているので、佐野さんが偵察に行ったが道はない。やっぱりキャンプ場の手前から登るしかないか。
 ダムの展望台に屋根付きの休憩所がある。今夜は雨、雪、雷なんて予報もあるので、ここを拝借することにする。2FUさんの5人用のテントがぴっちり収まる。
 そして宴会が始まったのであります。この一時が好きだ〜。でも真面目に寝ました10時頃だっけ。

 夜中にパラパラと雨の音!と思っていたのだが、雨ではなく新雪の世界になっていた。

 4月12日(金)
 広野ダムで積雪は5センチほど、まだ上ではどんどん積もっている様子。大丈夫かいな〜。
 昨日の偵察で取り付き点を決めていたが、岩谷キャンプ場の駐車場から少し下らなければならない。えい!面倒じゃい。どこから登っても同じや!。と正面の斜面に取り付く。(6:30)
 普段なら腕力でヤブをかき分けて登るのだが、今日はちょっと勝手が違う。足元は兼用靴、板を背負ってのヤブ漕ぎはつらい。おまけに昨夜からの新雪でずぶぬれ。
 斜面は急で最後には岩登りのようになる。マイッタマイッタ。疲れた!(8:30)
 尾根に乗っかれば残雪が出てきて、何とかなると思っていたが、相変わらずのヤブに不安になる。
(頂上まで行けるのだろうか。・・・)

 しばらく痩せた尾根を登ると両側が広がり、どうやら山スキーのフィールドになった。やっと重い板を背負う事から解放され、気持ちよくシールで登る。
 べったりの雪田ではないが、ブナ林の中の林間コースと言ったところだ。(実はそんなええもんでもないが・・。(^_^;)
 結構残雪がある。さらに昨日からの新雪が10センチ程積もり、私達のために化粧直しをしてくれたよう。(^_-)
 途中で一度ヤブに突入。ヤブを避け急斜面をトラバースしたのが間違いだった。立っていてバランスを崩し、頭から急斜面を滑落。辛くも大木に激突して制動がかかる。片足の流止めで宙づり状態。
 やっと自力脱出した頃、2FUさんは「あぶねえ、あぶねえ、あんな処には近づくまい」と言った感じで後づさりしていった。
 後で聞くと、私の救助活動に、こちらに向かっていたようです。
 高度を増すに連れて天候が悪くなり、手倉山からの尾根との合流点、1,069m に登り着いた頃は、視界が利かず風も雪も増してくる。佐野さんが「行く?」と振り向く。「勿論!。」と頂上の方をストックで差す(^_-)。

 所々に赤布を付け、コンパスを頼りに進む。1,069mの広いピークから一端下って尾根に乗るのだが、下降点が見えず、3人でしばし議論。
 取り付きのヤブでかなり体力を消耗しているので、出来るだけルートミスの登り直しはしたくない。
 小さな鞍部で予定通りのルートを取っていることが確認できてホッとする。
 広い斜面を登ると少し尾根が細くなり雪庇が張り出している。風もきつくなる。ときどき強風が吹き、エビの尻尾がバリバリと飛んでくる。まったく冬山の状況だ。

 福井と滋賀の国境稜線に到着。(12:00) 立ったまま少し腹ごしらえをするが、風と雪でゆっくりしていられない。稜線に入ると今までにも増して風が強くなり、滋賀県側に張り出している雪庇の端がわからない。
 見え隠れする、空と雪庇の線に近づかないように進む。新雪もぐんと多くなり、膝位は十分ありそう。
 狭い尾根が広くなり、傾斜も緩やかになった。何も見えない真っ白なところを進むのはちょっとヤバイなあ〜、と思ったときに小さな看板が見えた。微かに「上谷山山頂」と書かれてある。バンザーイ\(^O^)/(12:40)
 この風では頂上でものんびりしている状況でもないので、取りあえず記念写真だけを撮り(写ってないような気もするが・・)、急いで下山する。
 国境稜線を抜けるまでは、アップダウンがあるのでシールは付けたまま、踵も固定せずに下る。深雪でスピードが出ないのが幸いだ。
 右側の雪庇から落ちないように、無意識に左の取りすぎたのか北の枝尾根に下りかけたりする。あぶねえあぶねえ。
 国境稜線の分岐でシールを外し、待ちに待った大滑降。\(^O^)/先ほどのトレースはまったく消えている。雪庇沿いはルートは間違わないが、尾根が広くなるとルートをそらさないように気を使う。
 昨年、一度2FUさんと毘沙門に登ったが、あの時から比べると彼はずっと上手になっている。今シーズンはほとんど毎週練習しているそうだ (.)。 もう滑りは十分ですよ。後は新雪とヤブ抜けを練習して下さい。
 佐野さんとは初めての山スキー行です。華麗なるスキーヤーにはこのヤブは板も乗り手も、ちょっと可哀想だった。でもさすが、ゲレンデで慣らしているので無難に新雪もこなしている。
 登りに付けた印が時々現れるとホッとする。それにしてもテープや鉈目がまったくない。このルートから上谷山に登る人は居ないのだろうか。
 まあ、奥美濃にしてはかなりのロングコースを滑れたと思う。満足満足。
 ああ、あのつらいヤブ漕ぎの下山が待っている〜う。
 下山は4時半、思い出に残る良い山行でした〜。、佐野さん2FUさん。

            〇~~/\/\~~/\~~ 《山太 Santa!》

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