石徹白「薙刀山・野伏岳」山スキー


 【日  時】1978年03月24日
 【山  名】薙刀山(1,648m)  野伏岳(1,674m)
 【山  域】白山南部
 【天  候】晴れ
 【メンバー】山太


 福井、岐阜県境は白山の南部の三ノ峰からはじまります。そして南へ名前を上げれば、二ノ峰、一ノ峰、願教寺山、よも太郎、日岸山、薙刀山、野伏岳、小白山、毘沙門岳、と続きます。

 前夜発で、いざ山へ出かけようとしている夜、相棒から電話があり、熱が出て行けないと言う。彼と二人だけの山行だったので困ってしまった。
 思案の末、思い切って一人で出かける事にした。

左は野伏岳。私の真後ろが薙刀山

 前夜発を半日遅らせて、朝発で出かけた。
 白鳥発、PM4時の町営のマイクロバスに乗った、石徹白に着いたのが5時、民宿にでも泊まろうと思っていたが、まだ十分明るい。それに今夜は月食があると言う、満月の月明かりで登ってやろう。
 最奥の村、上在所まで50分、除雪はそこまでで、林道をシールで登った。途中で暗くなってしまった。
大日岳の麓から、ビックリするような大きな月が出てきた。道ははっきりしているし、月と雪であたりは相当明るい。
 8時前、結構広いところに上がってきた。和田山牧場までもう少し有るようだが、そこから道が解らなくなってしまった。少し探せば解りそうだが、荷が重く、ここにベースを置く事にした。ここなら明日、クラブの別パーティーが登ってきてもわかるだろう。半日遅れだが、一応予定の所まで上がってきた。

 明日は、薙刀山と野伏岳をかたづけてやろう。そう思ってすぐに寝てみたが、月食が気になって夜時々目が覚める。
 テントから顔を出すと、雲一つない夜空で、月がかけ始める、そして星が、ぽつりぽつりと増え始める。たったひとりぼっちで、この夜のショーを満喫する。明日は早いんだ、そう長く起きている訳には行かない。
 6時半、サブザックに食料を詰め出かけた。雪の表面がクラストしていて、気持ち良くシールが利く。40分ほどで和田山牧場に着いた。今日登る薙刀と野伏が一望に見渡せた。やはり薙刀は遠いなあ。

 推高谷を源流近くで渡ったが、そのあたりから斜面が急になり、キックターンの繰り返しで登る。
 一人なのでピッチが早いのか、やたらと疲れる、10分ほど登っては、2〜3分休んでしまう。太陽がギラギラ暑くてしょうがない。幸い見渡す限り人っこ一人いないので、上半身裸で登る、冷たい風が気持ち良かった。雪虫も活動を開始している。最後の登りもきつかった。
 11時山頂。白山、別山、大長、経ヶ岳、荒島岳、北アルプス、真っ白い山々の眺めは素晴らしい。

友と巡り会えてホットする

 1時間近くかかった登りを、15分で鞍部まで滑って下りれた。だが、登りの疲れが出たためか、思うように滑れない。だいぶん疲れているよう。鞍部で12時半までゆっくり休み、野伏に取り付いた。北斜面なので所々クラスとしている。
 1時半に、野伏岳山頂に到着。さっき登った薙刀を見れば、白山に続く尾根のコブ位にしか見えず、少々ガッカリする。
 南側の小白山までの尾根は痩せていて、雪庇があちこち崩れて恐ろしそうな所だった。さあ、ここからベースキャンプまで思いっきり滑れる。今度は足がガクガクにならないように、1時間の休憩。

 2時半、野伏の避難小屋めがけて一気に滑り降りた。野伏の無傷の南東斜面に、おもいっきりシュループを描いた。気分最高、何と壮快な事か。ベースに着いたのが3時半、ああしんど!。30分ばかりテントで寝ころび、動く気はしなかった。体はまだ滑っているような感じだった。

 4時半頃、クラブの別パーティーが登ってきた。今夜は飲み仲間もできて、昨夜の酒とは比べものにならないくらいうまかった。

 昭和62年の春に、小白山に登りに入った時には、野伏の避難小屋は崩壊していました。

            〇~~/\/\~~/\~~ 《山太 Santa!》


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