北アルプス七倉岳から野口五郎・湯俣岳へ



 遅い夏休みでしたが、それが幸いして、好天に恵まれた静かな北アルプスを歩いてきました。

 【年月日 】 1993年8月24日(火)〜27日(金)
 【地  域】 北アルプス
 【山  名】 七倉岳、船窪岳、烏帽子岳、野口五郎岳、南真砂岳、湯俣岳
 【ルート 】 8/24 七倉山荘→船窪小屋→七倉岳→船窪テント場
        8/25 テント場→船窪岳→不動岳→鳥帽子岳→鳥帽子小屋場
        8/26 テント場→野口五郎岳→真砂岳→湯俣岳→湯俣温泉
        8/27 テント場→高瀬ダム→七倉山荘
 【天  候】 晴れ(24,25) 曇り時々晴れ(26,27)
 【メンバー】 単独
 【地 図】  鹿島槍・黒部湖


※8月24日(火)晴れ
 七倉山荘6:15→船窪小屋11:30→11:45七倉岳12:00→12:10船窪小屋13:00→13:15テント場

 今回は北アルプスです。ピークハンターの山太としましては、今まで一度も登っていないところと言うことで、七倉岳から野口五郎岳を縦走することにしました。温泉が目当てかも〜。

 夜行バスで信濃大町駅に5時半到着、そこで降りたのは山太一人です。早速タクシーの運ちゃんが声を掛けてきました。高瀬ダムまで行く人を集めている様子。山太は七倉山荘までだから、ちょっと敬遠されてしまった。
 しゃーないなあ〜、7時50分のバスを待つか〜。

 しばらく駅周辺をウロウロしていたのですが、やっぱり誰か一緒にタクシーに乗るメンバーが居ないかなあ〜と、タクシー乗り場で待っておりました。
 二人組のパーティーが居たので話しかけると、高瀬ダムまでだと言う、そこへもう一組の高瀬ダムまで行くというパーティー。結局、タクシーは5人の客を乗せて、途中で山太を降ろして、そこまでの清算と言うことで、たった千円で七倉山荘まで入ることが出来ました。

 七倉山荘の前には高瀬ダムに入るゲートがあって、6時半にならないと開かないのです。そのゲートの前で4台ほどタクシーが開門を待っています。
 そんな中で山太だけ一人、七倉尾根船窪新道を歩き始めました。6:15

 初めっから急登です。久々にテントを担いだ登り、でも結構快調です。30分ほど歩いた所で、ご夫婦のパーティーを追い抜く、しばらく歩いて休憩をしていると、そのご夫婦が追いついて、同じ所で腰を下ろした。
 しばらくしゃべって、山太が先に腰を上げた。
「そんじゃお先に、又直ぐに追いつかれますやろけど。」
「私らはゆっくり登ります。もう頂上まで会いませんやろ〜」

(ああ、プレッシャーを掛けよった、そんなん言われると追われる身。)
(追いつかれる訳にはいかん、)そう思えてくる。いやな性格。(^_^;

 一生懸命登りました。おかげで 11:30 船窪の小屋到着。ガイドブックのコースタイムより1時間も早く着いてしまった。
 だーからー、あの夫婦連れが一言多いってば 、せっかく時間があるのでゆっくり登りたかったのに、またもセカセカ登ってしまった。反省(^_^; 。

 あれっ!、小屋が閉まっている、誰も居ない。入り口はシャッターが閉まっている、窓から中を覗くと、ビールやジュースの缶が積んである。小屋が閉まっていてもとちーとも困らないのですが、そのビールを売って欲しい〜。

七倉岳より針ノ木岳方面を見る

 取りあえずザックをそこに置いて、七倉岳をピストンする事にした。小屋番は道の整備でもしに行っているのだろうか、まっ、そのうち帰ってくるだろう。

 七倉岳の頂上は展望抜群、特に立山から薬師の稜線がきれい!。ゆっくり休憩して小屋に戻ると、七倉尾根を二人連れが上がってきた。この船窪の小屋に泊まる予定だと言う。登る途中に小屋番に会い、今夜は素泊まりして下さいと言われたという。
 そういえば山太が登ってきた途中、髭を蓄えた色の黒い兄ちゃんに出会った。
挨拶はしたが、山太の荷物はテント泊と気づいたのだろう、今夜は小屋番が居ないと言うことは知らされなかった。

 取りあえず、この二人連れの話を聞き、小屋に入れること、ビールは買えることを聞き安心した。えらいこっちゃ、ビールは10本しかない、早速4本を買い込んで、料金入れの缶に2千円入れる。
 素泊まりの方は5千3百円入れて下さい、と書いて有った。泊まった人は皆入れるのだろうか〜心配。
 皆が正直に入れた後、誰かがそのお金を猫ババしないのだろうか、心配。

 小屋から15分ほど下ったところに船窪のテント場がある、13:15 あまりにも早すぎたが、今日の行程は終わり。やけに太陽がまぶしい、もう今日はええ、かげんに曇って欲しい。
 4時頃、スパゲッティを茹でて、たらこスパゲッティを作る、そしてコンソメスープ、漬け物、スパゲッティのトッピングはきざみ海苔。
 そして、・・・・(^_^; きゅうーりとウインナー、ブリーチーズが有るなずなのに、食料を買って冷蔵庫に入れておいて、持ってくるのをすべて忘れてしまった。(^_^;

※8月25日(水)晴れ
 テント場6:00→船窪乗越6:20→7:40船窪岳8:10→10:30不動岳11:45→道を間
違え再出発12:00→13:10南沢岳13:20→13:45鳥帽子田圃14:00→14:20鳥帽子
 岳ピストン14:50→ニセ烏帽子岳15:20→15:40鳥帽子小屋テント場

 6時から歩き出す、しばらくは稜線を歩く、花がすごくきれい!。
毎年この時期にアルプスに入っているのですが、今年は花がたくさん残っているのでびっくりしました。

 船窪までは結構しんどい、不動沢の崩壊がひどく、ザラザラの痩せ尾根が続く、ズルッツっと足を滑らせると、何百メートルも滑って落ちそう、手や足を擦りむいて痛いやろうなあ〜、生きてたら。
 
 今日も天望抜群、富士山も見える、槍がだんだん大きくなってくる、それにしてもじりじり照りつける太陽で暑い、のどが渇く。

 いつも単独行の時に記念写真を撮るのに困る。ちょっといい方法をあみ出した。私の持っているのはミニカメラ、それにマジックテープが着いている山屋さんで売っているミニ三脚。それを適当に拾った棒切れに取り付けて、セルフタイマーをかけて、自分を写すんです。いつもドアップの写真が撮れました。

 10時半、ちょっと早いが不動岳でラーメンを作る、水が残り少ない。1.3リッターほど持っていた水は途中で飲んでしまい、ラーメンを作ると残りわずか。幸い昨日残しておいたビールがある、頂上で飲むビールは上手い!。

 それにしてもこの頂上には「ここが頂上だ」と言う看板がない、頂上周辺も広い。北アルプスでもこの辺は本当に人が少ないんだなあ〜。

 1時間ほど昼寝をして、さあ下るか!、とそのまま南へ。あれ?道がはっきりせんなあ、まあそのうちハッキリした道に出るだろうと強引にハイマツの中を歩く、だんだん背丈以上のハイマツになり、前進不可能。ハイマツのヤブ漕ぎはちょっと手強い。仕方なく15分後もう一度不動岳の頂上へ引き返す。
 なんの事はない、道は頂上から西に付いていた。

 南沢岳を下ったところは、小さな池が点在するお花畑、ここは天国か?・・、すごく気持ちのいいところ、鳥帽子田圃と地図に書いて有る。この水飲めるんだろうか、水場と書いていないのでダメなんだろう。ああ喉が渇いた〜。顔を洗ってうがいをする。飲もうと思ったが、やっぱりやめる。
 しばらくザックを下ろして休憩する。この池は冬は雪で埋まっているのだろう、そしてその雪が解けてここに溜まっている、そうするとこの水は雪解けの水!。えい!、とシェラカップにすくいゴクンゴクンと飲んじゃった。毒の水だったらこの報告を書いていないだろう。

 烏帽子岳は分岐点にザックを置いてピストンをする、相変わらずだーれも居ない、頂上はすごい岩がそそり立っている。おいおいこんな所、確保してもらわんと登るんかい?。
 最後の一個の岩はコロリンとしていて、完全に頂上に立つことは出来ない。
鳥帽子と言うより、鳥がくちばしを空に向けてその先っぽが頂上のようだ。

 下るときに気が付いたんだけど、ちゃんとした、ロープの張ってあるルートがあったんだ。知らずに直登してしまった様子、通りで険しかった〜。

 烏帽子岳と鳥帽子小屋の間では数人の登山者に出会う。ここから人気のある裏銀座のルートだなあ。

 小屋で缶ビールを4本買って、テントを張る。3:40

 夜、ラジオを聞いていると、台風11号が接近中と言う。何でも明日は天気が崩れ、夜には長野県方面も影響が出るらしい。
 よーし、明日は早立ちだ!4時起床5時出発と決める。エーットエーット、腕時計の目覚ましの合わせ方が分からない。まっいいか、目が覚めたときの都合だ。

※8月26日(木)曇り
 テント場5:00→三ツ岳6:00→野口五郎小屋7:30→7:40野口五郎岳8:00→真砂
 岳8:25→9:15南真砂岳10:00→11:15湯俣岳11:25→13:15湯俣温泉

 昨日迄の晴天とは違い、ちょっと曇った空を見ながら予定通り、5時に歩き出す。テント泊りの良い所は自分の好きな時間に行動出来ること。

 野口五郎岳への登は淡々とした登りだ。ジリジリ照りつける太陽もなく、涼しい風が吹いている、そして天望は良い。最高の縦走日和、こんなの好き。
 汗もかかず快調なペースで、野口五郎岳の頂上に着いた。もだーれもいない独り占めの頂上。セルフタイマーでドアップの記念写真を撮る。

 湯俣温泉の分岐がもう一つハッキリせず、適当に真砂岳の頂上に登る。ここにも道案内も頂上の山頂名の立て札も全くない、でも稜線に道がハッキリ見えるので間違いなかろう。
 途中ガレているところはザイルをたらして有ったので、ああ、ちゃんとこの道も整備しているんだ、と安心する。
 南真砂岳の頂上でラーメンを作る。ワンタンを入れてボリュームいっぱい。

 北鎌尾根が真正面に見える、槍もでっかくなってきた。何処から見てもさすが立派だ。

 湯俣岳は地図では巻いているようになっているのに、どんどん登り、とうとう頂上に登ってしまった。又一つピークを稼いでしまった。(^_-)
 槍の方だけ切り開きがあったがあまり天望の良い山じゃなかった。

 沢からは温泉の匂いがする、もうすぐ温泉だ〜。だんだん足が速くなり、転げるように下る。

 1時過ぎ、着いた着いた湯俣温泉に!。
 小屋に入る前にちょっと周辺を偵察、テント場の横に露天風呂が数個ある、テント場も快適そう。小屋でビールを買いテントを張る手続きをする。

「内湯は4時から入れますよ。」
「外の露天風呂は入れないんですか?」
「ちょっとぬるいと思いますが・・・。」
「ああ、そう、残念。」
「様子を見て入れたら入って下さい。」

 どれどれと、露天風呂に手を突っ込んでみる、結構温かい、これなら入れそうだ。早速テントを張ってから、着替えを持って露天風呂へ、勿論裸になりお湯に入る。「あれ〜〜え〜!。ちべた〜い!」下は水だ。
ほんの少し上が温かいだけ。かき混ぜようにもこんな大きな露天風呂混ぜようがない。
 そろりそろりとお湯の出口へ移動、パイプからは結構熱いお湯が出てきている、でも肩までつかるとお尻が冷たい。じっとしていると湯の表面がアッチチチ、かき混ぜるとゴミが浮き上がってくる。体中にゴミやヘドロがからみつく、湯ノ花なんて粋なもんじゃない。もうめちゃくちゃ、それでも負けじとスッポンポンで周辺の石ころを積み上げて、お湯の出口に直径1メートルほどの囲いを作った。でも下から冷たい水が湧いて出てきているよう、こりゃダメだ、あきらめる。一応露天風呂には入ったんだから〜。

 どうやら露天風呂のおかげで退屈せず時間をつぶせた。4時に早速内風呂に入れてもらう。何のための露天風呂や、でもきれいなお湯は気持ちがいい、やっとヘドロを洗い流しさっぱりした〜。

 テントを張っているのは山太だけ、小屋も一人泊まっているだけの様子。
テントの外でシートを広げ、ビールを飲みながら夕食を食べる。今夜はお茶漬けと味噌汁、漬け物、そんだけ、もう食料がない。明日の朝小さいパンを2個食べたら非常食のカロリーメイト2箱有るだけ。6時に食事を終え片づけかけた頃雨が降ってきた。

 結構雨はきつく、フライがバリバリと音を立てる、でもダンロップの二人用テントにフルフライだから完璧!。なーんぼでも降ってチョ。ここまで担いできたのはちょっと重かったけど・・。おかげで気にせず眠る事が出来た。

※8月27日(金)曇り
 テント場5:30→高瀬ダム8:00→9:15七倉山荘10:12→バス

 朝、まだ雨が降っている。夜はかなり降ったようだが完璧、ぜーんぜんテントの中は濡れていない。雨の中でパキングをするのはいやだなあ〜、なんて思っているうちに小降りになってきた。さあ今だ、すばやくテントを撤収して5時半に歩き出す。もう殆ど雨は気にならない。

 今年のガイドにも湯俣山荘は営業しているように書かれていたが、全くそんな気配はなく、電気も止めてあったのでもう営業はしないのだろう。
 どんよりした天気はこう言うところを歩くのには適している、汗をかかない程度にのんびり歩く。名無しの非難小屋は結構良い小屋だった、これだったら昨日風呂に入って、ここまで歩いて泊まれば良かった。

 何か歩き足らず8時にダムに着いてしまった。昼のバスに乗るつもりだったのにどうやら10時のバスに間に合いそう。
 タクシーが下山客を拾おうと待っていたが、振り切って歩き出す。さすがでっかいダムだわ、石ころが積んであるのは見事だった。

 9時15分に七倉山荘に到着、バスの発車まで1時間ある、ひと風呂浴びるのにちょうど良い時間だ。
 葛温泉の露天風呂に入ろうかなあなんて考えていたんだが、行きのタクシーの運ちゃんが「葛温泉は観光客が多いので山から下りてきたら、七倉山荘の方がのんびりできるよ。」と言っていたのでやめにした。

 バスの客は山太一人、どうしてこう人が居ないのだろう。

 北アルプスでも本当に人の少ないところでした。天気も良く山太の夏山は最高でした。

          〇~~/\/\~~/\~~ 《 山太 (Santa!) 》

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