美濃俣丸、雨の残雪登山


 美濃俣丸1,253.8m は岐阜、福井の県境沿いの南の端の方にあります。

 山に「丸」とつくのはあんまりないんじゃ無いでしょうか。

 昭和56年4月8日夜発、(前夜発1泊2日)メンバーは二人です。

 夜行で今庄に真夜中に着く、そして駅のベンチで眠った。と言いたいが、この駅のベンチも昔ながらの木のベンチが、プラスチックの一人がけの椅子に変わってしまい、どうも眠りにくい、ああ昔は良かった。

 朝、タクシーが起きてくれるのを待って、広野ダムまで入る。その先はまだ除雪されていません。
 昨日まで雨、そして今は曇っているが、また天気が悪くなりそうです。昨日までの雨で雪解けの水が増水して、谷の水はゴウゴウと流れています。

 この美濃俣丸は昨年の秋に一度失敗しているのです。
 その時はこの道を車で入り、源平谷山の北側から、笹ヶ峰、美濃俣丸の中間に登っている道があるので、そこから尾根通しに、ヤブを漕いで、美濃俣丸に登る計画を立てました。しかし余りにひどい熊笹のヤブ漕ぎに敗退してしまいました。
 今回はダイレクトに美濃俣丸に登っている尾根に取り付いて踏む予定です。

 林道が右岸から左岸に渡ったところで、強引に尾根に取り付きました。初めは腐った雪で、雪と傾斜との格闘で苦労しましたが、登るに連れて雪が締まり、快調に登れます。
 でも心配なのは天気です。今にも泣き出しそうな空模様です。頂上にテントを張る予定ですが、「こりゃ予定を早めて何とかせにゃならんなあ。」
 とにかくペースを上げて一生懸命登る。1,000m位からガスが出てきた。
(ちょっと補足すると、ガスが出て来たのではなく、ガスの掛かっている所まで登って来たのです。)

ザックをテポして、頂上をピストンする事にした。
 きつい放物線の登りが、だんだん緩くなり水平になった所、地図、地形、小さなプレート、等でここが頂上と判断する。ガスでなにも見えない頂上です。
 頂上に登ったときの気持ちは色々有るでしょう。今日は、「やれやれ、雨の降らないうちに下りなければ!。」

 テポ地点まで戻り、そこから少し下って尾根の窪地に(雪の窪地)テントを張った。降ってきましたね、いきなりザアザアと、テントを張った後なので、まずそれは良かったのですが、それにしてもすごい雨と風、春の嵐です。
落ちついて食事など出来る状況じゃなかった。
 この時はツエルトだったので、ドームテントを持ってこなかったのを悔やんだ。

 ここで二人とも威力を発揮したのは、ゴアテックスのシュラフカバーです。テントはビショビショになり、底に水がたまる状態でしたが、シュラフを濡らさず一夜を過ごす事が出来ました。

 少し小降りになっていましたが、朝も雨が降っていました。テント周辺の雪の解けた量の多さに改めてビックリ。
 昨日と同じコースを下る。なんか雨にうたれに来たよう〜、とにかく一つ登った!。

 山は天気には勝てないが、ただ登ったと言うだけの、ものたらなさを補うかのように、二人は林道の蕗のとうを採りあさりました。

            〇~~/\/\~~/\~~ 《山太 Santa!》


トップページへ 山旅帳目次へ