南アルプス茶臼から聖岳へ


 私にとって最後に残された3000メートル峰の聖岳にヤッコラサ登ってきました。
【日  程】 1992年8月25日(火)〜28日(金)
【山  域】 南アルプス南部
【山  名】 茶臼岳 仁田岳 上河内岳 聖岳
【ルート 】 畑薙第一ダム→横窪沢小屋→茶臼小屋→仁田岳ピストン→
      上河内岳→聖平→聖岳ピストン→椹島→畑薙第一ダム→赤石温泉
【入山地 】 畑薙第一ダムゲート【下山地】 赤石温泉
【天  候】 全行程晴
【メンバー】 単独
【地  図】 20万 甲府  2.5万 上河内岳

25日(火)曇

 いわひばりさんに車で畑薙第一ダムまで送っていただく。奥様とお子様の涼君の見送りを受けで南アルプスへと歩きだしました。
 林道をポクポク歩いていると、十数年前の記憶がよみがえってきました。冬に5日もかけて茶臼小屋まで登っておきながら、悪天候のため何処にも登れず帰ってきた事があります。今回はそのコースのやり直しです。
 畑薙の大吊り橋は、やっぱりちょっとびびりましたね。
15〜20センチ程の巾の板が1枚の所と2枚の所とあるのです、2枚の所は気分的にすごく楽なのですが、1枚になると極端に恐くなります。
ウソッコ沢小屋の玄関。もう小屋番は下りて無人小屋になっている。

 もう誰も居ないウソッコ小屋の前で昼食、木陰で休むと風が気持ち良い。
 ウソッコ小屋を出た頃から休憩が多くなってきた、久々の重荷に少々疲れてきた様子です。今日は早じまい横窪沢小屋でやめておこう。
 横窪沢小屋は新しいのが建っていたが、もう閉ざされていて、以前の小屋が解放になっています。
 その夜はご夫婦のパーティーと私の三人だけでした。夜はネズミがこそこそ、枕元をはい回っておりました。
横窪沢の小屋。でもこれは新築で中には入れません。解放小屋はもっと古い。


タイム
畑薙ゲート10:20→大吊り橋11:00→12:15ウソッコ沢小屋12:40→2:20横窪沢小屋


26日(水)快晴

 5時起床、5時10分出発と言う早業。朝食も昼食も適当にお腹が空いたら食べるという私のパターンです。
 やっぱり朝は元気です、コースタイムを50分もの短縮で茶臼小屋に到着。
さすがここから見る富士山は、でっかく立派だわ!。
 小屋には優しそうな小屋番さんが一人居ただけです。多分ここには山尾望さんのザックがあったんでしょうね。
茶臼小屋は月末まで番人がいます。でもビールは売り切れていた。

 稜線に上がるとさすが風が冷たい、ここでラーメンを作りゆっくり休憩。
ザックをテポし仁田岳へピストン、茶臼岳と仁田岳は森林限界から突き出ていて展望は抜群です。
仁田岳からは光岳の小屋が見えるウ。起伏のある稜線を見て。「こりゃあ遠いわ!。」

 この頃、山尾望さんは上河内岳から下山して茶臼小屋に戻り、私と行き違いになり、接近しながらも遭遇しなかった訳ですね。

 茶臼岳と上河内岳の中程にかなり広い草原があります。天然記念物の亀甲状土とやらがあるそうです。ちょっと寝っころがりたくなる雰囲気です。
シートを広げしばし休憩。
少し昼寝をしたい感じですが、照りつける太陽で体がこげつきそう。
 ここで今回の山行で唯一の大パーティーと遭遇、限りなくバストが腰に近づいたノーブラ女性達10人程の集団です。
でもここは他の山に比べぐっと若い方が多かったようですね。

 上河内岳も展望抜群、聖岳が大きい。今日泊まる聖平の小屋は遥か下の方に見える。ワー!あんなに降る下るの。(^_^;

 聖平の小屋も新しいのが建っていました。でもやっぱりここは閉鎖です。
聖平も小屋は新しい。ここも番人はもう居ません。解放小屋は古い。


解放小屋は以前の小屋です。
私が小屋に着いたときは、テントが5張りほどありました。一人の方が話しかけてこられました。
その方はすでにテントを張って居られたお坊さんです。

お坊さん「非難小屋は閉鎖で使えませんよ!。」
山太  「こっちの古い方は開いているでしょ。」
お坊さん「それが開かないのでテントを張ったのです。」
山太  「そんな事無いでしょう、それじゃ私の寝るところ無くなっちゃう。」

見ると、戸がいびつになって居ます。ははーんと思いましたね、ちょっといびつを直すとスルスルと開きました。
お坊さんびっくりしていましたね、はじめに開かなかったもので、次々来る人に「開きませんよ。」と言うと、ちょっと開けようとしたのですがダメなので、次々テントを張ったようです。
 それからお坊さん、テントを回って謝ってました。(^_^;
そしてテントをたたんで小屋に泊まる事になりました。
 そのお坊さんの荷物の多さにびっくりしました、10日ほどかけて縦走しているのですが、私がすっぽり入りそうな大型のアタックザックを背負い、一泊山行の出来るくらいの、サブザックを前に背負い、30キロくらいあるかも知れない、と言って居られました。羨ましい体力。

 その夜も満点の星空、一つ一つの星がでっかく、天の川も久しぶりに見る事が出来ました。

タイム
横窪沢小屋5:10→7:30茶臼小屋8:00→8:20稜線分岐9:00→9:55仁田岳10:00→
10:40稜線分岐11:00→13:00上河内岳13:30→15:00聖平



27日(木)快晴

 4時15分起床、4時30分サブザックで聖岳に向かう。
ようやくライト無しで歩ける明るさです。適当なところで御来光をと思っていたのに、つい登りすぎてしまい、西側の斜面に入ってしまい、再び太陽と顔を合わせたのはかなり上がってしまった太陽でした。無念 6時間45分結構あっさり頂上に到着。
めぼしい山々だけが雲海に浮かび出てすっきりして見やすい。
恵那山、御岳山、中央アルプス、乗鞍、北アルプス、勿論槍も、仙丈、甲斐駒がよく隠れもせず仙丈の横にちょっぴり見える。
そして赤石に荒川三山、笊、富士山、大無間、上河内、光、ぐるっと一周回りました。
 奥聖岳の頂上散歩をたっぷり楽しみ、私の3000メートル峰完登を一人で祝福。 昨日から登った山頂は、どれもたった一人山、私一人の山頂でした、満足。
 聖平の小屋に戻り、椹島に下る。とにかく天気が良すぎ暑くってしょうがない、贅沢な文句だなあ。
 聖沢吊り橋で、靴を脱いで足を沢につける。オオ気持ち良い、そこでひらめいた!。ここは誰も居ない山中。
タオルを持って枝谷へ、キョロキョロ、うん、ここなら誰も来ないだろう。
ズボンもシャツもパンツも脱いで、沢の水を浴びる、ワー最高。
これぞ単独行、これぞ南アルプス、これぞ夏の終わりの山。

 大井川の林道に降りた途端に、砂ぼこりの襲来に合う。ダンプがひっきりなしに通り、その度にモウモウと砂煙を巻き上げる。こりゃ明日が思いやられるわ。取りあえず椹島に急ぐ、折角水浴びしたのに〜なんて思いながら。
椹島で入浴後楽しみにしていたビールで喉をいやす。後ろの小屋は今夜泊まる小屋。

 椹島で宿泊手続きをする。風呂があるんです。ラッキー。
風呂付き寝具無し食事無しで3,605円の登山小屋に泊まったのは、私と単独行の若い女性の二人だけでした。(^_^)
 彼女は仙丈から縦走してきて今夜が最終日だそうです。
話をしている内に、彼女は98ノートを最近買ったそうです。その時「やまおたく」を見たくて、一緒に買おうとしたが、売ってもらえなかった、と言うような話も聞きました。
 勿論、パソコン通信の宣伝もばっちりして、是非FYAMAにおいで願うように話して起きました。
そんな話をしている内に、彼女は飲めなかったのですが、私一人でロング缶のビールを6本も開けてしまいました。

※注 「電話はいっさい有りません。」

 椹島には電話があり、問い合わせなど出来るので、てっきり公衆電話があると思っていましたが、登山者が使える公衆電話がないという事で、椹島から下界への連絡は取れませんので、気を付けて下さい。

タイム
聖平小屋4:30→6:45聖岳・奥聖岳8:00→9:10聖平小屋9:30→14:20聖登山口14:40→15:10椹島


28(金)快晴

 昨日のあの砂ぼこりを考えると、とにかく出来るだけ車の少ないうちに沢山歩きたかった。
 さすが朝の空気は気持ち良い、汗もかかずそんなに太陽の照らないうちに、畑薙ダム到着、いわひばりさんに連絡を取ると迎えにきていただけるという。
 その間もう少しがんばって歩いて、赤石温泉につかる事にした。
この道がいちばんきつかった、アスファルト、照りつける太陽の一時間余り。

 赤石温泉は、市営で無料だったんですね、風呂にはいるのに財布を持って、うろうろしてしまいました。

タイム
椹島5:30→9:50畑薙第一ダム10:00→11:10赤石温泉

                〇~~/\/\~~/\~~ 《山太 Santa!》


                        
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