骨が折れる奥美濃・蠅帽子嶺


 平日登山隊、秋色編は奥美濃、屏風山脈の山へ行ってきました。転けちゃいましたけど〜。
『はえぼうし』山麓火遊び


【日  時】1997年10月23〜24日(木金)
【山  名】蠅帽子嶺 1,037m
【山  域】奥美濃(福井岐阜国境)
【天  候】晴れ
【メンバー】佐野 誠 2FU 山太
【ルート 】根尾西谷側コワタビ谷右岸尾根ピストン

 午後3時森ノ宮の2FU車庫に集合。名神の関ヶ原から垂井を通り、揖斐から谷汲に入る。
 今までは大垣インターから大垣市内を通り抜けR157に入っていたが、今回の方がグンと早かった。

 私は能郷から先ははじめてだ。舗装はしてあるがここからは険しい山道になる。ちょっと通り過ぎてしまったが、無事コワタビ谷出合に着く。ここにはオフロードのコースが作られていた。

 今夜の宿はこの駐車場にテントを張らせてもらう。焚き火をして、2FU亭の芋に会が始まる。

 焚き火を囲みカメラで遊んでみる。シャッターをバルブにしてペンライトで2FUさんが字を書いてみる。こりゃ天才だ!。

 5時に起きる。まだ外は暗い。徐々に明るくなってくる谷間の景色を見ながら、めいめい朝食を済ませる。気持ちの良いひと時だ。

オフロードコースの駐車場から
対岸のコワタビ谷。
左側の尾根に登る道がある。

 明るくなるに連れ、ポツリポツリと紅葉した木が見えてきたが、自然林にしては綺麗な赤が少ない。

 対岸の尾根道にたどり着くには、50メートルは有ろうかという河原を越えなければならない。この徒渉のために沢靴を持ってきたのだが、私が偵察した限り水の流れが少なく、小石伝いに登山靴でも渡れそうに見えた。
 これがそもそも今回の失敗の原因だ。

 偵察した水の流れはそんなに多くなく、思っていたように無事石伝いに渡れた。でも朝露に濡れた石はツルツル滑り、まるで氷の上を歩いているようだ。ここで佐野さんが転倒してズッポリ濡れてしまった。
 対岸から見たところでは水の流はこれだけだったのだが、渡ったのは中州でその向こうにもっと大きな流があった。アチャ!。

 慎重に渡っていたが、とにかくよく滑る。ズルッと滑って、とっさに転けまいと身体を支えた瞬間に体中に痛みが走った。その時転けたのかは分からない。
 その後何とか持ち直し渡りきったが、普通でない痛みに足がガクガクする。左腕がまるで効かない。
 そのころ佐野さんと2FUさんが靴を脱いで渡ってきた。幾分落ち着きを取り戻したが、痛みはいっこうに治まらない。右手で左の背中を触ってみると、少し出っ張っているようにも思う。

 服を脱いで見てもらうとやっぱり少し肩のところで骨が出ているようだ。脱臼かな?。脱臼ってどんな症状かは分からないが、動かそうとしても動かないのは、きっと関節が外れているのだとたと思った。
 佐野さんに、出っ張っているところを押してもらったが、駄目だった。(--;)
 川の中で転けたのなら、ずぶ濡れになっているのだが、全然濡れていないので、転倒による打撲や腕で支えたショックで骨折したとは考えられなかった。

 2FUさんに薬を塗ってもらい、痛み止めの薬をもらう。この薬を飲み込もうとしたが喉がカラカラで喉に入らない。しばらくして「まだ喉に入らない」と言うと2FUさんが水を汲んでくれた。この時はまだ冷静さを取り戻していなかったようだ。
徒渉したところのお地蔵さん。

 今から思うと、事故現場の写真を撮っておくべきだったが、そんな余裕はなかった。
 この川を渡ったところに石仏があり、その横からはっきりした道が付いていた。これなら少々痛くても歩けそう。駄目なら私一人で引き返すつもりで歩いてみることにする。

 ウエストポーチを付けようとしても手が後ろの回らない。ザックを背負おうとしても背負えない。2人に装備を付けてもらって、さあこれから秋色の山へ出発だ。(^o^)/~イテテ

(レントゲン写真によると、甲骨3カ所骨折、折れてかなりずれていることが判明。)(-_-;)

 この、蠅帽子峠に通じる尾根道は、昔は表日本と裏日本を結ぶ重要な通路であったらしい。
 自然林の中にある古道は消える事なく残っていた。つづら折れから尾根へ、そしてトラバースと、一度も下ることなく、一定の傾斜は淡々と登り続けている。さすが古道、見事につけられている。

 秋の自然林は明るく、淡い木漏れ日は心を落ち着かせる。908mのピークを巻くようになり、なだらかな斜面になった。久しぶりにブナの原生林に入った。
 私はこのブナの原生林をこよなく愛する『ブナの木クラブ』という山の会で育った。感動した昔の山行が思い出される。
 このあたりの道もうまくピークを巻いて見事に作られている。

 肩の痛みはあったが、肘を曲げて固定していると楽なので、囲炉裏のバンダナを2枚繋ぎ、三角巾を作る。敗残兵スタイルだ。(^.^;;;
(囲炉裏のバンダナは2枚セットで買いましょう。)

 右谷のトラバースでザイルが張ってある個所があった。空中散歩のようなすごい急な斜面、深い谷だ。左手が使えないだけに少々びびる。

 正面にピークが見える。「あれは、手前のコブだろう。」と思っていたら、稜線に突き上げるルンゼにテープがあった。
 道から外れ、最後の急登のヤブ漕ぎだ。木につかまって身体を引っ張り上げる斜面は、片手ではつらいモノがあります。

蠅帽子嶺山頂。

 15分ほどの格闘で稜線に出た。蝿帽子嶺までの道は比較的ハッキリしているが、蝿帽子峠への道は不明瞭だ。

 9時半、頂上に到着。西の切り開きからは、能郷白山や若丸が見えるが、それより遠くは高曇りのせいであまり見えない。

 昔、苦労して登った屏風山や姥ヶ岳を見たかったが、残念ながらそちらの方の展望はなかった。

 この蝿帽子嶺は、屏風山脈の中では結構登り易い部類だが、なんせ20万図には名前がない。そのせいで人気がないのだろう、山頂のネームプレートすら見あたらない。

 山口さんに頂上コール。
「無事じゃないけど、頂上到着しました〜。転けちゃいました。」(^.^;;;

 稜線から一旦ヤブ突入地点まで戻り、蝿帽子峠を訪れることにする。またトラバースで少々やばいところもあったが、20分ほどで歴史的な蝿帽子峠に着く。石仏の前で佐野さんが、歴史的逸話を朗読する。
 残念ながら越前方面の方は、展望はなく道も消えかけていた。

 ピストンは面白味が少ないかも知れないが、その分のんびりと気楽に自然を楽しむことが出来る。
 今回は秋色の写真を撮ることも目的のひとつだったが、じっくり撮る気分にもなれなかったのが少し残念。でもあまり綺麗な紅葉ではありませんでした。

 1時頃、車に戻ってきた。

 休憩時にはザックの上げ下ろしを手伝って貰い、大名登山の様でもありました。(^.^;;;
 佐野さん、2FUさん、ご迷惑をおかけして申し訳有りませんでした。m(_ _)m

 来た時は夜だったので全く解らなかったが、断崖絶壁の細い道はガードレールもありません。
 慣れない私の車を運転した2FUさんも恐かったでしょうが、横に乗っていた私も、恐くて喉がカラカラになりながら足を踏ん張っていました。

 そしてやっと難関突破したと思ったら1時間半もの通行止め。迂回するためにまたさっきの恐い道を通るハメになってしまった。マイッタマイッタ。

 そのかわり越波の廃屋近くでムカゴを採ることが出来ました。

            〇~~/\/\~~/\~~ 《山太 Santa!》



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